あなたは「日本の食料自給率」が何%か知っていますか?
2024年度のデータでは、カロリーベースの自給率は38%であり、これは30年以上ほぼ横ばいが続いている低水準の数値です(農林水産省/Jiji Press/Nippon.com)。
私たちが食べている食料の約6割以上が 海外からの輸入でまかなわれているという現実は、日々のニュースではあまり語られません。この記事では、食料自給率が低い背景を 農業構造・国の政策 そして 消費者意識とのギャップ という観点から整理します。
日本の食料自給率 ― 基本データ
まずは日本の自給率の今を数字で確認しましょう。
図表① 日本の食料自給率(最新:2024年度)
カロリーベース 38% 国内生産で供給できる食料のカロリー割合(約6割輸入依存)
生産額ベース 64% 国内生産の経済的価値比率(やや高め)
摂取熱量ベース 46% 日々実際に食べるカロリーに対する国内生産割合(2024年度から公表)
※ 2030年度の政府目標は カロリーベース45%・生産額ベース75% です(農林水産省)。
なぜ自給率が低いのか ― 主な要因
(1)輸入頼みの穀物・飼料構造
自給率が低い最大の理由は、「穀物の輸入依存」です。国内では米を中心に主要穀物が生産されていますが、小麦や大豆、トウモロコシはほとんど輸入に頼っています。特に家畜の飼料(トウモロコシ・大豆)を輸入していることが、カロリーベース自給率を大きく押し下げています。
食品全般では海外からの輸入に依存する割合が高く、60%以上が輸入であることは国際的にも多くの報道で指摘されています。
(2)食生活の変化(欧米化)
日本人の食生活は戦後大きく変化しています。例えば、1960年代には1人当たり年間約118kg食べられていた米の消費量が、現在ではその半分程度まで減少しています。この間、肉類・乳製品・油脂類の消費が拡大し、欧米型の食生活が広がりました。肉や乳製品は国内生産がされてはいるものの、その原料である穀物は輸入に依存しているため、食の多様化が結果として自給率低下に寄与した側面があります。(※農林水産省の詳細品目別データ参照:カロリーベースでの主要穀物依存が顕著です。)
(3)農業人口の高齢化・規模拡大の困難
日本の農業は高齢化と担い手不足が深刻です。平均年齢が上昇し、若い就農者の割合は低下しています。さらに、都市化や高い地価により農地が分散・縮小しているため、大規模・機械化・スマート化が進みにくいという構造的な問題があります。結果として、効率的な農業生産がなかなか広がらず、生産性が伸び悩んでいます。
農薬・効率化はなぜ国全体の課題か
自給率を上げるには、農業の効率化は不可欠です。これは単なる「農薬をたくさん使う」という意味ではなく、収量を安定させる総合的な技術導入のことです。農薬や肥料は害虫・病気・雑草を制御し、収量の低下を防ぐ役割があります。もちろん、過剰使用は環境や健康への影響が懸念されるため、適正使用が重要です。
近年は、ICT・AI活用のスマート農業、ドローンや自動化機器などで効率性を高める技術が進んでいますが、これらは単独の農家で導入するにはコストや知識のハードルが高いのが現状です。つまり、農薬・技術・機械導入などの効率化を進めるには、国の支援や制度が不可欠なのです。
消費者の「国産志向」と現実のギャップ
図表② 消費者意識と現実の矛盾
多くの消費者が「国産」を支持 → 価格・供給制約で選びにくい
食料安全保障への懸念が増加傾向 → ほとんどの主要穀物は輸入
食育・地産地消の意識が高い → 実際の購買行動には反映しにくい
多くの消費者は「できれば国産を選びたい」という意識を持っています。しかし、実際には国産は輸入品より高価なので、スーパー・外食では輸入原料が含まれることが多い。そもそも国産商品が少ないジャンル(小麦製品など)もある。
といった現実があります。つまり、「国産志向」の気持ちと、日々の食生活での選択肢にはギャップがあるのです。
図表で見る自給率の推移(歴史)
以下は、日本の食料自給率推移の概略イメージです。※出典は農林水産省の公開資料にもとづいた過去データ。

図表③ 日本の食料自給率の推移
日本の自給率は、戦後の高度成長期には80%台〜70%台でしたが、食生活の変化や輸入の増加に伴い減少し、2010年代以降はほぼ40%台前後で推移しています(農林水産省報告)。
この先どうするべきか
日本が自給率を上げるためには、以下のような国全体の取り組みが必要です。
✔ 農業の生産性と効率化の支援
スマート農業・機械化・農薬・技術導入への補助や教育訓練支援が必要です。
✔ 農地の集約と担い手育成
農地を大規模化し、農業経営を強化するための制度支援が求められます。
✔ 消費者支援・情報発信
国産の良さを理解し選びやすくするための価格政策や地産地消の推進が重要です。
✔ 食料安全保障としての長期戦略
気候変動や国際リスクに備える「安全保障的な農業戦略」も不可欠です。
おわりに
日本の食料自給率が低い理由は、「農業が弱いから」でも「消費者が悪いから」でもなく、輸入依存・食生活の変化・消費者行動の制約・効率化の遅れ など、多様な要素が絡み合った結果です。
そして、私たち消費者の「国産を食べたい」という気持ちと、現実の選択行動とのギャップを埋めるための政策や情報発信が、今後ますます重要になると思われます。食料は、いつでも・どこでも手に入るものではありません。だからこそ今、自給率という数字の裏側にある現実を知ることが、私たち一人ひとりに求められていると感じます。
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