今回、取材させていただいたのは真庭市の初本さんです。昨年は、田んぼのオーナー制度でお世話になりました。昨年から田んぼに水を張らない乾田直播という手法でお米を育てられているということ。どんな米作りになるのか、今年はお米ができるまで取材させていただくことにしました。

 乾田直播とは?メリットは?

簡単に言えば、お米の種(もみ)を直接田んぼに蒔き、田んぼに水を張ることなく育てていくという農法です。育苗や水の管理などの手間が省けて、稲作全体の労力が30%~50%減ると言われています。

 乾田直播での種もみの準備。

この2つを入れた溶液を作成します

アグリフルとアイアンガードアクアを既定の水で薄めた溶液を作り、それにもみを1時間浸水させます。この2つは農薬ではありません。アグリフルは土壌中の微生物や根回りを中心に、成長促進や栄養吸収をサポートする「植物の栄養吸収効率やストレス耐性、生育を高める資材」です。アイアンガードアクアはバイオシードテクノロジーズの技術で安定化させた高濃度な「二価鉄」水溶液(20%硫酸第一鉄)です。主に植物の光合成促進、鉄分補給による葉緑素生成、フェントン反応による強力な殺菌効果を発揮するものです。
もみを休眠状態から目覚めさせる意味もあり、溶液に浸します。

もみを1時間浸します

その後、天気にもよりますが1~2日間乾燥させます。乾燥を助けるために扇風機もずっと稼働させておきます。

最低でも表面が乾くまで乾燥(陰干し)

乾燥させた後は、マイコスとアゾスブルーという微生物資材をバケツの中でもみと混ぜます。これでもみ種の準備は終わりです。

乾田直播では、こうして処理したもみ種を直接田んぼに蒔きます。今年は6ヘクタールの田んぼで乾田での稲作を行う予定です。この工程のもみ種は乾田直播でも、慣行の水田栽培でも両方使えます。

 従来の育苗し水田栽培する場合でのもみ種の準備。

育苗をする場合は蒔くまでの手間が全然違います。

育苗する場合はもみ種の殺菌をするために、農薬(スミチオンとテクリード)を薄めた液に1日浸します。これは病気を抑えるための作業です。

その後、陰干しで3日間ほど乾燥。乾燥させてから催芽(さいが)作業に入ります。13度の水に浸す作業が2日~3日。32度の水に浸す作業が1日弱必要となります。

水を循環させて、もみ種に水分をしっかり吸わせます。

もみ種がぷっくりしたハト胸状態に。種もみは積算温度が100度になると発芽します。

この後は冷水に2~3時間浸して、芽の成長を止めます。脱水機に入れて水分を飛ばし、播種するまで2度くらいの冷蔵庫で保管します。

 従来の育苗し水田栽培する場合は、育苗もします。

もみが完成すると、育苗の作業です。昨年の収穫後、精米の際に出たもみを燃やした物を床にしてその上にもみ種を蒔きます。保水力がかなり良いので、水を撒く回数が減ります。これを使うのは軽量化と経費削減(自分で作れるため)です。

敷き詰めた後、水もまいておきます。

その上にもみを240g~250g蒔きます。うちは少し多めです。

上から育苗専用の土をかけます(覆土)。覆土に使う土は1袋3万円で、7袋くらい購入します。

1時間に80枚のペースでパレットを作成しています。うちではこのパレットを全部で5000枚程度用意します。育苗機に一度に全部入らないので、何日にも分けてパレットを作成していきます。

パレットの完成。

こうしてできたパレットは、まず育苗機に入れてしっかり湿度と温度(32度)を保ち3日~4日、芽が1cmくらいの大きさの芽になるまで育てます。

奥の四角いのが育苗機。

その後はビニールハウス等に入れて田植えの前まで成長させます。田植えをする頃には10cmくらいにまで成長しています。田植えは5月の初旬くらいになります。この辺りは寒いので播種から田植えまで40日くらい必要です。

 育苗にも手間と時間とお金が必要だけれど、乾田直播では省略できる。

もみ種の作業を始めてから、育苗機から出すまでに、1週間以上の時間がかかります。その間、機械、水、電気、土などの資源、人件費が必要となり、育苗にもかなりお金と手間がかかってしまいます。乾田直播ではこれらの資源と時間が不要となるので、経費、労力ともに全然違ってきます。

 お米の話とは違って。。。春休み、高校生のバイトを雇っています。

若い力!バイト先として農業を選んでくれたことは嬉しい。

知り合いを通じて…という学生限定ですが、春休みの高校生をアルバイトとして雇っています。今の時期は大した力仕事もないですし、いいんじゃないでしょうか?もし、これで農業に興味を持ってくれてそのまま従事してくれる子がでてきたら嬉しいと思っています。

 これは余談ですが。。。今年はお米以外に”ごぼう”と”さつまいも”を栽培しようかと考えています。

去年は機械が壊れていたのでできなかったのですが、今年はさつまいもを栽培しようと思っています。ごぼうは、お米を買ってくれているお客さん数人から言われたのでやってみようかと思っています。従業員のみんなに、忙しくなるからという理由で却下されたらできないですが(笑)ごぼうもさつまいもも田植えや稲刈りシーズンを外して収穫できる品種を考えています。

 育苗の作業の多さにびっくりしました。

お米作りの工程を見たのは初めての筆者です。育苗をするためにも多くの機械が必要となることにも驚きでした。ほんとうに手間を気を使い、経費的にもかなりかかることを知りました。外気温も関係したりするので、経験も必要です。美味しいお米ができるまで、農家さんはどういった作業を必要とするのか?乾田直播は今後有効なのか?これから取材を続けていきたいと思います。

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