今回は、水を張らない乾田直播という手法でお米を育てられている真庭市の初本さんの2回目です。田植えの様子をお届けいたします。普通の田植えとどう違うのか取材させていただくことにしました。
なかなか田植えができなかったようです。
乾田直播の場合、田んぼがしっかり乾いた状態でないと田植えができません。3月終わりからずっと雨が定期的に降って、土が乾かなかったのでできませんでした。土が乾いて細かい粒状になった田んぼに植えていきます。

適した状態の土 乾いてさらさらの粒状です

水分が多めで粘土質の状態と違いが判りますか?
日本プラントシーダー株式会社の方にもお話をお伺いしました。
このリールは20cm5粒の間隔で作成しています。もみを包んでいるひも状のものは土の中でバクテリア分解して無くなります。通常1週間くらいでぼろぼろになってくると思います。土壌消毒をしたような圃場では分解されるのに時間がかかってしまいます。いろいろな野菜の種で使用できますが、全国的には大根で用いられているのが多いと思います。お米に用いたのは去年からです。

緑色の粒粒がお米です

岡山県内では、ゴボウ、人参、大根、トウモロコシ、枝豆等の植え付けで利用されています。
これを利用して播種すると、株間が均等になります。他の播種機だと、人によって歩く速さが違ううと植え付けの間隔が違ったり、深さもまちまちだったりしますが、この機械では誰が播種しても同じになります。それから、種の大きさが品種によって違う野菜の場合、機械で蒔いても同時に2粒落ちたり3粒落ちたりすることもあるようですが、そういうことがなくなります。
観光花園などで花の種を蒔くのにも使われるところがあります。

これはサンプルとしてコーンの種をテープシーダーで作成しているものです。先ほどの物と少し材料が違ってオブラートのように土の中で溶けるタイプの素材で、種を包んでいます。

この技術は60年くらい前からあるもので、すでに特許は切れています。
苗を買うのと値段的にはあまり変わりません。
1反(30m×100m)の田んぼに蒔く為に必要なシーダーテープ(8リール)を購入するにはだいたい2万円くらい必要だそうです。もみは持ち込みで作成してもらいました。農協等で苗を買うのとだいたい同じくらいの値段になる感じです。
田植えの機械がとても小さいです。

この機械はTEM-4WD4という型番のものになります。草刈り機のエンジンを使っていて、ガソリンで動きます。小さいので普通の車でも運ぶことができます。田んぼ間の移動なども楽になります。
乾田直播でもいろいろな種類があります。
乾田直播は3年目です。もみを直接蒔く方法もあります。今年もそれをしたいのですが、なにせ田んぼが乾きません。石川県の方では初冬直播という方法もされているところがあるようです。もみは積算温度が100度に達したら芽が出てくるので、雪が降る前に田んぼにもみを多めに蒔いておき、雪解けして春が来ると芽が出てくるという方法です。
乾田直播でも、最後まで水を張らずに稲を育てる方法、苗がある程度まで大きくなったら水を張る方法など、いろいろなやり方があります。それは土地の条件や農家さんの好みでわかれます。
本当は、春が来る前の2月3月に乾田直播でもみを蒔いておきたかったですが、今年はその時期に雨が多く、田んぼが全く乾かなかったので、通常の田植えと重なりばたばたになっています(笑)

晴天が続き、やっと田んぼが乾きました
機械の調整には少し慣れが必要。
前日に15cmの深さまで掘って土を柔らかくしました。もみは1cmの深さに植えます。
今日は田んぼの表面に凹凸がかなりあって、機械の調整が難しくなっています。表面を平らにならしておく方がすんなりと植え付けできます。機械の調整がちょっと手間なのですが、それができてしまえば田植えは楽にできる感じです。
試験的に雑草対策であぜを固めてみたとのこと。
乾田直播をする田んぼではないのですが、今年は試験的にカタマ®SPを使って畦を固めてみた田んぼがあります。こうすると畦に草が生えなくなり、田んぼに草が侵食していくのを防ぎ、除草効果が期待される!ということなので、今年は試しにやってみました。

田んぼの周囲が白くなっているところがカタマ®SPを施工したところ
カタマ®SPというのは、鉄鋼スラグ(高炉スラグ+製鋼スラグ)を主原料とする、水で固まる環境配慮型の簡易舗装・防草材です。鉄鋼スラグとは鉄鉱石から鉄を製造する過程で、原料に含まれる不純物や石灰石が溶融・結合して生まれる副産物(鉱さい)で、資源循環型社会(サーキュラー・エコノミー)を推進する重要な素材として認識されているものです。うちは元々土木工事をする会社なので、重機があるからできることです。そういう技術と情報を持っているのも強みですね。

この上には雑草が生えなくなります
もち米は田植えを始めています。
社長の奥様にもお話をお聞きしました。
もち米はすでに田植えを始めました。早く植えて、早く刈ります。もち米は稲の状態でしっかり実りきる少し前に刈り取ります。その方が米の劣化を防げて、白さを保ち、粘りと伸びが良くなります。刈り取った後、少し時間をおいてから乾燥させてもみにします。
もち米の稲を植え終わってから、こしひかりなどの苗を植えていく順番で田植えを行います。
この田んぼは田植えをするときに土がゆるく、田植え機が沈んでいきそうになり、怖かったです(笑)この2面を植えるのに半日程度かかりましたね。このあたりは真庭市でも水がきれいな地域で、美味しいもち米がとれます。

水面がキラキラ光って本当に綺麗です!
田植えは雨でも行いますが、ちょっと大変です。田植え機に雨除けを手作りで追加しています!うちは田植えをしながら肥料も除草剤も一緒にする形なので雨が降るとそれがうまくいかなかったりします。
育苗も順調に進んでいます。
こちらは通常の田植えで植える稲の苗が、順調に育っています。とてもきれいです!

緑の絨毯のようです

苗は元気いっぱいに育っています
驚きの田植えでした。
筆者が「田んぼに直接蒔く」ということから連想していた田植えとは全く違っていて、様々な技術があることに驚かされました。機械の調整が少し難しそうでしたが、大きな農機具を運ぶことなく、運転するのも簡単で、誰にでもできそうな感じがありました。初本社長さんのいろいろな事に挑戦される姿勢にも尊敬を覚えます。これから稲刈りまでどうなっていくのか、また見せていただきたいと思っています。

長男さんが従事されている林業で植える木の苗も元気に成長中
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