今回取材させていただいたのは、真庭市で主にさつまいもを生産されている針山真司さんです。
大きな野望を持つ優しい針山さん。優しい笑顔で、ご自身の農園を理想の『湯原ふぁーむ』にするべく突き進む、針山さんの原動力についてお伺いしました。

農業を始めたきっかけ

大学卒業後、大阪のハローワークに勤務していました。もともと人と話すことが苦手で、職務内容が向いていないとずっと思っていました。妻の実家が湯原(真庭市)で、農業の研修制度が充実していることも背中を押してくれました。

針山さん

真庭市の研修制度

当時真庭市で募集する研修制度では、トマトとブドウの研修生を受け入れていました。現在は、『湯原ふぁーむ』でも受け入れすることができるので、さつまいもでも可能ですが、昨年は研修したいという人は来ていません。真庭市の農業振興課のホームページでは、農業振興課にて就農の相談を受け付けているようです。

現在栽培している野菜

最初はトマトで農業を始めました。現在はトマト2 さつまいもは2.5反の作付面積があります。トマトは夏しか収入がない上に、冬季は雪が降り路地野菜が育てられないので、通期で収入が得られるシイタケ栽培と、貯蔵ができるさつまいも栽培を始めました。さつまいもは紅はるかという品種のみを栽培しています。

パートさんの通期雇用で目標売上1億円!

パートさんを通期雇用できるように、最初はシイタケ栽培を始めました。地域に雇用を生み出せたことは良かったのですが、しいたけは儲からないので今期で終わりにする予定です(笑)。最近は事業再構築補助金を活用し、干し芋を生産するという、事業の6次産業化に挑戦しています。

干し芋を作成する機械

目標の売上は1億円です!その目標を達成するためにはどうしても人が必要です。良いものをたくさん作って、適正価格で売るということを追及していくために、パートさんたちにも良い環境で仕事をしてもらいたい。2月からは正社員としての雇用も確保し、安心してしっかり働いてもらえる環境を実現しました。

シイタケハウスの作業場 パートさんの労働環境も考えます。

完成した干し芋

若い人は草刈をしただけで、予想以上の重労働にギブアップする人が多い印象です。

夢はありますか?

今年からブドウを少し始める予定です。近くにブドウ農家を辞める方がいて、その方からブドウ畑を受け継ぐ予定です。将来的には観光農園を開くことを考えています。

将来のこと

10年後くらいに売上1億円を達成して長男に仕事を渡したいと考えています。長男はまだ6歳ですが、父親が楽しく仕事をしているところを見ていると思うので、農園を引き継いでくれるのではないかと期待しています。前職をやめて10年ですが、農業をやっていて嫌だと思ったことはありません。忙しい時期は、朝3時に起きて夕方6時まで仕事をする生活をしていますが、ずっと楽しく仕事をしています。

良い農地を広げたいと考えているので、お金を出してそういう農地を借りています。今後もそのように農地を広げていきたいです。今年の末に法人化をしようと考えていて、会社の名前を考えています。会社名に湯原を入れるか真庭を入れるか…どちらがメジャーでしょうか(笑)今年からはじめてさつまいもの育苗をします。初めてなので、うまくいくかどうか…。

欲がない人は農業には向かない

自営業は向上心や欲がない人はやらないほうがいいと思います。農業は頭をそれほど使わなくても、とりあえず体をしっかり動かせば結果がついてくる職業だと思っています。私には両方の理由で向いていると感じています。忙しい時期は、朝3時に起きて夕方6時まで仕事をする生活をしていますが、ずっと楽しく仕事をしています。楽しく仕事ができているのは、もっと良い作物を作りたい、利益を上げたいという気持ちがあるからです。その根底には家族と幸せに暮らしたいという気持ちがあるからだと思います。この欲がどこからでてきているのかはわかりません(笑)

針山さんのお芋はどこで買えますか?

さつまいもに関しては、基本的には地域のスーパーに委託販売しています。個人との取引はしてもらえなかったので、仲間と出荷組合を立ち上げてそこから出荷する形になっています。真庭市の道の駅でも少しだけ売っています。真庭市には大阪とのネットワークがあり、B級品の芋も大阪の道の駅で売ることができるので廃棄品はほぼ出ません。さつまいも農家の大部分は12月まで貯蔵をして売り切るのですが、湯原ファームでは貯蔵庫を保有しているので、1月以降、品薄な時にも順次出荷でき供給できる仕組をつくっています。紅はるかは収穫してすぐはおいしくないです。なので貯蔵庫で寝かせて甘さをだしてからの出荷になるので、地域の他のさつまいも農家と出荷時期をずらすことができます。

干し芋は良い芋を使って作っています。干し芋に関しては機械にもお金がかかっているので、失敗はできません。やはり、良い干し芋は良い芋からしかできません。

出荷前のさつまいも 小さめが人気

出荷準備の計量器→優秀

取材を終えて思ったこと

とにかく前向きでパワフル!といった印象を受けました。売上をあげるにはどうすればよいかという方向から農業を考えていらっしゃる、戦略的農家さんでした。新規参入を考えている方は、やはり農業で生活できるのかという不安はあると思いますが、まずは『自分の身体を最大限使ってみる』という考え方において、お手本となりそうな存在なのではないかと思いました。売上1億円の達成を私たちも楽しみにしています。

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