今回、取材させていただいたのは岡山市東区の一所懸命農園でロマネスコを栽培されている平野さんです。社長の岩本さんにもお時間をいただいて一緒にお話を聞かせていただきました。ロマネスコという日本ではまだ珍しい野菜の形に惚れ込んで(?)栽培しようと思われたそうです。
ロマネスコを育てようと思った理由はなんですか
昔、洋食の料理人をしていた時にロマネスコは結構使われていて調理したりしていたのですが、最初下っ端で作業をしているときは知りませんでした。形が好きです。フラクタル構造といいます。見ていただけるとわかると思うのですが、どこを切り取っても同じ形をしていてそれを見るのが大好きです。それに加えて栽培途中で真っ白いロマネスコが見られる時期があるのですが、アルバイトの人たちに見せても、おー!っと歓声が上がるほど奇麗です。白くてちっちゃくてかわいいです。ロマネスコが好きすぎて私の携帯の待ち受け画面はロマネスコです(笑)自分で撮りました!これいいでしょう?これきれいでしょう?待ち受け画面にしていると年中見られるので良いですね。
一所懸命農園YouTube 野菜の女王
ロマネスコの旬はいつですか
ロマネスコは7月末~8月頭に種まきをして、1月から3月の中旬までが収穫時期です。水も結構やらないといけません。2品種栽培していますが、冬に霜にあたっても大丈夫な野菜なので、その点は育てやすいです。ただ、ここ最近、夏が暑すぎるので苗が枯れてしまったりします。一所懸命農園では、4~5年くらい前から栽培・出荷しています。

向かって左側 平野さん 右側 岩本社長
どのくらいの生産量でしょうか
昨年は4000株植えました。1株に1つ収穫できる野菜です。岡山県内でも他に栽培している農家さんはいます。県内でも生産量は増えてきていると思っています。今はスーパーで見かけても、10人のうち7人くらいはなんじゃこりゃ?となるのだと思いますが、業務スーパーに持っていったロマネスコは全部売れるので、少しずつは知名度が上がっているのだと実感しています。
カリフラワー ブロッコリー ロマネスコは何が違いますか
3つとも同じアブラナ科の野菜ですが、それぞれ特徴があります。ブロッコリーはカリフラワーより軽いし作りやすいです。ブロッコリーは少々荒く扱っても大丈夫ですが、カリフラワーは重いし、少しあたっても茶色くなったり欠けたりします。収穫の籠に6個くらいしか入りません。ブロッコリーは山積にしても、籠にポンポン入れても大丈夫です。カリフラワーは去年は作っていません。
ブロッコリーとロマネスコは同じくらいに作り始めますが、ロマネスコのほうが収穫は遅いです。ロマネスコのいいところは、霜にあたっても大丈夫なところです。防御力が高いです。路地にずっと植えていても虫や鳥の害がない限り、3月くらいまでは元気に育ちます。ロマネスコは脇芽がでないので、1本で1つの収穫となります。ブロッコリーは品種によって収穫時期が変わります。ロマネスコにも品種がありますが、うちでは2品種作っています。違う2品種を育てていますが、収穫時期は同じものを選んで栽培しています。どちらかの品種がダメになっても大丈夫なようにしています。ブロッコリーは品種によって多少平べったかったり丸かったりで形が違いますが、ロマネスコはどの品種もほぼ同じ形です。
おいしい食べ方を教えてください。
ロマネスコは大きいものも小さいものも味は変わりません。ロマネスコもいろいろな調理方法がありますが、私たちはミキサーにかけてソースにして食べたりします。薄く切って天ぷらにしてもおいしいです。味にすごく癖があるわけではないので、何に合わせてもよいです。一所懸命農園のYouTubeで料理動画をあげたりしています。ロマネスコシリーズがいくつかあります。
一所懸命農園YouTube 気まぐれレストラン
一所懸命農園さんでは他にどんな野菜を作っていますか?
一所懸命農園では、米・麦を中心に栽培していて、野菜ではレタスがメインです。ズッキーニ、キャベツ、ブロッコリー、ロマネスコ、白菜、さつまいも等を栽培しています。今年は、白菜がちょっとうまくいかず出荷できなかったので、近所の子供たちに食育として白菜を採ってもらいました。最終的に50件くらいの家に行き渡ったようです。それで感想を書いてもらいました。捨てられる野菜を考えてもらうきっかけになるといいと思って収穫体験をやってみました。
去年はロマネスコについては4000株、ブロッコリーは8000株を栽培しました。ブロッコリーは脇芽が出ますが、それは出荷せず食べたり産直に持っていったりしました。ロマネスコはカリフラワーより全然楽です。去年はズッキーニも2400株栽培していましたが、長雨では病気になって収量が思ったほどではなかったです。
去年は野菜全般に「ひよどり」の被害もあったのですが、やっぱり気候が暑すぎて収量が減っています。10月まで35度くらいあったので、苗が枯れたり、高温障害でいい野菜ができず、虫もいつまでも元気だったので大変でした。
一所懸命農園さんについて教えてください
正社員は6名で、ほかにアルバイトの方もお願いしたりしています。1月1日以外は誰も会社にいないという日はいません。会社が出しているカレンダーで休日(赤字の日)は1月1日だけです!これが農業ですね。でも最近は有給休暇の申請届の紙を作っている最中です。働き方改革です。それをしないと若い子が来ませんからね(笑)。会社では30歳の子がいちばん若いです。
とても忙しいのは年間で3か月くらいです。6月が麦と米が被るので一番忙しいですね。あとは11月は稲刈りと麦の播種、野菜の定植・収穫とかがあるので忙しいです。飲みにも行けないです(笑)
お話を聞いて感じたこと
本当にロマネスコが大好きなことがひしひしと伝わってきました。大好きになった野菜を自身で育てられてれいるのはすごいなぁと感じます。珍しい野菜ですが岡山県でも栽培数は増えているとのこと。筆者はまだ食べたことがないので、是非食卓にのぼらせようと思っています。お話の中にありました、真っ白のロマネスコを見せていただくお約束をしました!冬が楽しみです。
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