今回、取材させていただいたのは岡山市で枝豆や小松菜を生産されている藤井さんです。
見た目の印象がとても若く、初めてお目にかかったときは20代後半かと筆者は思ったのですが、年齢をお聞きしたとき、心底びっくりしました。
農業を始めたきっかけ
出身は和気町で、実家は農業には関係ない家でした。今41歳です。28歳の時から自分で会社をやっていたのですが、コロナでダメになりました。それで暇になったので家庭菜園を始めたら、それからはまってしまって農業を始めた感じです。僕がよく行っている整骨院の人に農家さんを紹介してあげると言われて、たくさんお米を作っている人を紹介してもらい、その人の畑の横を0.5反借りました。最初に借りた畑で大根作ってみて、毎日100本売ったら30万円稼げるようになったんです。今の農地に来て4年目で、ここでは3反から始めたんですけど、やってたら近所の人がうちの畑もやってくれんか?とか、やってみるか!とかで、23反までになりました。やはり地域の高齢化で農家を辞める人も多いので、そうなりました。農業を始めて知り合った同級生が、今年から農業を本格的に始めたので8反ぐらい渡しました。だから今実際に使えるのは15反です。野菜農家だったら15反でも手に余ってる状態です。

藤井さん 小松菜畑を見せていただきました。
農業に参入された時の販路開拓について教えてください
今の場所に移る前は畑が0.5反ぐらいしかなかったので、最初は大根は直売所で、枝豆を食べチョク内のオカベジマルシェで通販で売り出しました。作り始めた大根は、80日とか90日で取って、すぐJAの直売所で売ったんですよ。こんな早く売ったやつは初めてだと言われました。枝豆は通販で売って大体捌けれたんですけど、今の量だったらもう通販では捌けれないのでエブリィとかマルナカとか開拓して売っています。通販で売るのが利益率は一番高いですけどね。送料いくらっていうのを出して物を売って納得した人に買ってもらえるので。ストーリー書いたり、お客様の声とか書いたりして売っていました。お店に直で出す場合、売れた額の何割かの販売手数料を払う感じです。値段の設定は自分たちでやります。今は個人事業主として農家をやっています。

枝豆は主力商品です
今はどんな野菜を栽培されていますか
今の季節は、小松菜とトウモロコシと枝豆の3種類を作っています。冬はブロッコリーを作っています。枝豆は青・茶・黒とあるんですが、今は青を収穫しています。3月の寒い時期から蒔ける品種なのですが、黄緑な感じの色をしています。それを2反くらい蒔いています。茶豆は3反ぐらい蒔いています。最後に青を1反蒔いて、今年は全部で6反の枝豆を作っています。1反で1万~1万2千株を植えます。「なかよしくん」という道具を使って1人でも腰をかがめることなく植え付けできるのでちょっとは良いです。茶豆とか黒豆の方が風味がよいので、その方が好きだという人もたくさんいます。一般的には青い物の方がイメージ通りの枝豆なので一番売れるかなと思っています。今年やっている茶豆の品種は収穫量が多いと聞いて栽培してみています。収穫はスイッチを押したら動いてくれる自動の剪定鋏があるのでそれを使うと、すごく疲れないです(笑)今のところ枝豆は値崩れしないのですが、まだ時期的にお客さんが枝豆の気分ではないみたいなので(取材は6月下旬)、出荷量は少なめにしています。去年よりも出来は良いと思います。トウモロコシはあと数日で出荷できそうです。去年は違う場所で栽培していたのですが、イノシシに倒されてしまったところがあり、場所を変えました。

枝豆の苗

これを使って腰をかがめることなく植えられます
出荷できないものはどうされていますか
B級品は、配送ルートが難しいのと、それを宣伝するのも面倒くさいです。トウモロコシが始まったら、畑の一角に直売小屋を作って売ろうと思っています。去年も売ったんですけど、今年もやって欲しいと地域の人から声をいただいています。去年よりはちょっと値段を上げようかな(笑)大根とかも土付きの葉っぱ付きの物を取ってそのまま100円で置いとく方が楽ですね。後は家に持って帰って家族で食べたりしています。家族でも食べきれない野菜は犬が食べてくれます。変な形のブロッコリーとか持って帰ったら、茹でたりして餌に混ぜるので犬も健康的な食生活です。

地域の人にも好評なトウモロコシ。生食でも甘い!
農業をしてみて良いところと悪いところは
農家をやってよかったと思うことは、荒れた土地をちゃんと畑に戻すと地域の景色が変わることです。近所の人はみんな良い人でどんどん畑が増えちゃうんですけど。地域の人もいろいろと農機具を貸してくれたりアドバイスいただいたり、良い人ばかりで助かっています。いろいろと自分で考えて試行錯誤ができて、改善されていくところも楽しいと感じます。去年の失敗したところを翌年で改善していくのでうまくいく方が多いのではないでしょうか。
つらいところは暑くて寒いこと。後は中腰(笑)。皆さんが思っているほど農家は大変ではないと思うんですけど、みんなが「大変じゃな~」と言ってくださるので、「そうよ~」と返事をしています。自分が農家を始めるときは絶対に前職(お弁当屋さんの店長や通販業)の方が大変だと思ったので、農家になるのはそんな大変には思わなかったです。
作物へのこだわりはありますか
小松菜は始めてまだ1年未満なので勉強中ですね。こだわりというよりも、前年よりも良いものを作ろうということしか今は考えてないですね。今作っている作物にこだわってやっていきたいです。自分の得意なものができたら強いと思っています。
土地に対しての平均的な収量というのががあるんですが、それを達成できる畑とできない畑があるので、収量目標より多く収穫できるようになることが目標です。パートさんには8時間来てもらうことになっています。人手も畑も現在以上に広げるつもりはないです。畑を広げなくても効率的な作業や、収量を上げることで収入を上げることを考えたいです。イノシシや虫の被害を減らす対策を取るだけで、まだ去年より売り上げや作業効率が上がる時期だと思っています。

枝豆畑の向こうはトウモロコシ
今後やってみたいことはありますか
知り合いが飲食店をするかもしれない…という話をしていて、それが決まれば、新しくジャガイモと玉ねぎを納品するために栽培しようかと思っていますがまだ未定です。小松菜だったら毎月収穫があるので、組織として考えたときに1年通じて収入があるんですけど、ジャガイモや玉ねぎのように季節で大きな収入が得られると安定する可能性もあるので、実現すると嬉しいですね。
後は、ある程度の条件をクリアしたら市から補助金がでるので、友達に頼んでイノシシ対策はしようかなと思っています(笑)。
まっすぐに頑張っておられる印象の藤井さんです。
地元ではないところで、地域の方々とすっかり打ち解けて良い関係を築きながら農業をされています。ひとえに藤井さんの人柄や考え方がそれを成功させておられると感じました。いろいろと考えながら試行錯誤をするのが面白いと言われる藤井さんの異色の経歴や奥様のお話も次回お伝えする予定です。
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