今回、取材させていただいたのは岡山市東区の一所懸命農園さんです。ロマネスコの育苗を始めたということでお邪魔させていただきました。今年の夏の暑さや取材の次の日から始まるという稲刈りについてもお話を聞かせていただきました。

 今年の夏はものすごい暑さでした。

今年は暑すぎて本当に大変どころじゃなかったです。夏野菜は今年はやめました。暑すぎて採れないです。人も熱中症になるしで。空調服は暑くて着ていられないです。ナスやししとうとかの収穫作業なら空調服も良いのかもしれないですが、あぜの草刈とか動く作業では暑くて着ていられないです。自分たちのように常に外にいる人はそんなにわからないですが、バイトさんたちはやっぱり危ないです。半日くらいで体力に限界が来るようです。自分たちも多分熱中症にはかかっていると思うのですがもうわかってないです(笑)。ちょっとだるかったりする時もありますが、動けなくなることないですし、いつもだるいので熱中症なのかそうでないのかわからない感じですかね。夏は米の草刈りや水管理と、米を植えていないところでレタスを育てていました。レタスは米のための水を入れれない場所で育てます。今年の夏の水不足も大変でした。田んぼに水が足りないとポンプで水を入れていました。ただ、そうすると、ガソリン代もかかってきます。田んぼの水は毎日見に行きます。やっぱり近所で米を作れなくなったからと言われて米を作っている田んぼがほとんどなのですが、今年は300枚以上の田んぼで米を作っているので水の管理も大変でした。いろいろな作業をドローンで…とも良く言われますが、うちは田んぼの形が整形地でもなく、まとまってもいないので難しいと思っています。ドローンの免許自体は社長が取っているのですが、購入費用も高額なので、今のところ導入は考えていないです。

ロマネスコの苗

 害獣被害も多くて大変です。

山側に近い田んぼはイノシシの被害にあいやすいですし、川に近い場所は、レタスがヌートリアにやられます。ヌートリアを見つけたら戦うときもあります(笑)イノシシは一年中出ます。多くはないですが鹿もいるし猿もいます。ヌートリアはレタスの美味しいところをちょっとだけ食べるので、ほんとに被害が大きいです。数もめちゃくちゃ多いですし、電柵では防御できないです。基本的にレタスは冬に作りますが、それを狙われます。ひよどりの被害は春先から始まるので、冬の間は大丈夫です。ブロッコリーやロマネスコもイノシシが食べたりします。南区の藤田でも田んぼでレタスを作っているようですが、水を止めることができるのでヌートリアの被害が少ないようです。うちのあたりでは、水を止めることができないので、ヌートリアの被害も止めることができないですね。岡山は整備されていない水路が多いので、岩の間とかにヌートリアが生息できる環境が整っているんだと思います。

食べる分くらい育てた…と言われたおくらの花

 早稲品種の稲刈りを始めます。

明日(9月9日)から稲刈りをします。先週の台風で稲が倒れてしまったので、刈ってしまうことになりました。早稲の品種は出来上がったので、それから順番に稲刈りをしていきます。早稲のミルキークイーンから刈ります。お客さんの要望もあるので、米はいろいろな品種を作っています。社長が刈り取る田んぼを判断しながら2か月弱くらいで全部を刈り取っていきます。お米の出来は刈ってみないとわかりません。イノシシの被害もあったりするのですが、稲の状態ではわかりません。自分はあけぼのの品種が好きですね。チャーハンやどんぶりとかはあけぼのが良いです。早稲はミルキークイーンと虹のきらめきを作っています。暑さに強い米選んでいます。他にも、あさひ・ひのひかり・森のくまさん等を作っています。稲に対するイノシシの被害は毎年あります。食べられたり、寝転がって遊ばれて倒されたりしますし、そうなったらにおいも臭くて大変です。イノシシ被害があまりにひどい田んぼは稲刈りさえしません。

元気に稲が育っています!

野菜担当は忙しくて稲刈りには参加できないですね。やることがいっぱいで忙しすぎです。毎日、定植とか水やりとか、量も多いので時間がありません。稲刈りの時期はそちらが優先でやりますが、冬になって定植作業やトンネル作業とかになってくると一人では間に合わないのでそちらの作業を手伝います。

 今年の野菜栽培の計画を教えてください。

今年から野菜担当が青木君に変わりました。期待の新星です。今年の冬はレタス・ブロッコリー・ロマネスコを育てる予定です。種まきの時期をずらしていって冬中採れるように計画して植えていきます。作業を間違えないようにするための計画書も作ってあります。一番多い時は1日に6000株くらい植える予定です。種を植える機械みたいなものがあるのですが、それで植えて水をやったら1晩日陰に置いて、あとは育苗ハウスで育てます。暑い時期は種まきから定植するまで20日くらいですが、冬になったら定植までがもっと長くかかります。今はブロッコリーの定植を始めています。米が終わったら麦もします。小麦も大麦も作ります。

ブロッコリーの苗

レタスも20種類近く作っています。暑さに強いとか形が違うとかいろいろです。今、夏のレタスは長野でしか作れないですけど、今年は暑さで酷かったです。水をいくらまいても暑さでやられていく感じでした。今年は暑くて出荷量が出ていないからスーパーでも高かったのではないですかね。キャベツは春キャベツを予定しています。いろいろな野菜を作っていますが混乱することはないです。体が覚えています。米を取った後の田んぼに野菜を植えていくのですが、土地の乾き具合によって植える場所の順番が決まってくるので、バラバラしてしまうと大変になります。土が乾いて細かくなる状態にならないと畝が立てれないので、その状態になったところから作業していきます。土が乾かない状態だと機械も使えなかったりするので大変です。雨が降るとわかっていたらその前に強引に畝を立て作業をします。農業は順調にいくと楽しいですが、労力が多大に必要な時は、仕事と割り切って黙々と作業をするしかないです(笑)うまくいかないことの方が多いですね(笑)田んぼによって作る品種は決まっていますね。毎年同じところで同じ品種を育てています。連作障害については米もレタスもないと思っています。パートの方には種を植えてもらったり、ブロッコリーの定植をやってもらったりしています。

 今年から野菜担当!期待の新星ー青木さん

水やりは繊細な作業ですが、鍛えた腕がものすごく強そう…。

農業に従事して2年目です。家が近かったので最初は年末2か月くらいの期間限定のバイトできました。体を動かすのが好きなので、そういう方向で職を探していて、近くに募集しているところがあったので来ました。12月末までの契約だったのですが、当たり前のように「年明けいつから来れる?」と聞かれ、気づいたら社員になっていたという感じです。現状の仕事に関しては、これ以上の作業は大変なので、なんなら減らしたいと思っています(笑)。時期にもよりますが、人手がとにかく足りないです。朝から夕方まで何かの作業をしています。畑での水やりはタンクを軽トラにのっけて行って水やりをしますが、育苗の時の水やりはシャワーで行います。苗に水をやりすぎるとひょろひょろの苗ができてしまいます。なので、その日の天気に寄って水のやり方を調整しています。今はレタスとブロッコリーとロマネスコの育苗をしています。

ジムで鍛えるのが趣味で、ジム通いはここで仕事をする以前からずっとです。仕事で疲れていてもジムにはいきます。農業で鍛えられる筋肉と、ジムで鍛える筋肉は全然違います。ジムで鍛えるとレタス1ケースしか持てなかったのが3ケース持てるようになったりします。そうすると仕事の効率も変わってくるので、やっぱり鍛えることは良いなと思います。小学校から大学まで武道をやっていて、その延長として今も鍛え続けています。武道に戻ってきてくれとも言われていますが、仕事が忙しくて時間がありません(笑)。

 社長さんは稲刈り準備をされていました。

この軽トラックで一反分くらいのもみが入ります。今年の稲に関しては見た目は悪くないですが、やっぱり刈ってみないとわかりません。野菜は見た目でわかるけど稲はわかりません。収穫の時期が早かったりすると緑色の米もあったりしますが、ちょっとそういうのががあったほうが食味は上がる気がします。昔は緑色の米があったら等級が落とされたりしましたが、最近は少々ではそんなこもとなくなりました。

 まだまだ暑い中、本当に作業は大変そう。

今年の暑さは特別で、農家さんではなくても皆さん大変だったと思いますが、外で作業されている方は想像以上の大変さだったと思います。岡山では晴れの日が続いて、畑の水不足や高温障害が深刻ではないのかと思っていました。一所懸命農園さんの田んぼを見せていただいた限りでは、とてもきれいな稲が育っている印象でした。このまま無事に豊作であることを祈ります!冬に向けた作物の苗は順調そうでした。小さな苗への水やりが、素人が思った以上に繊細な作業と聞いて本当にびっくりしました。プロの感とか知識はやはりすごい!と感服しました。ロマネスコをまた見に行かせていただきたいと思います。

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